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Introduction
着ぐるみを脱いでもその中からは、着ぐるみと同じような無表情の顔が現れる。
バスター・キートンのように表情を変えぬ彼は、降り掛かる様々な受難に向かって、必死に宿命的に抗う。
その様は、峻厳な深刻さとは無縁の、むしろ遊戯的な滑稽さが感じられる。
その身振り、ただひたすらに疾走するユーモアの力は、いつしか死に傾く一人の少女を助ける奇跡を起こすかもしれない・・・。
だが、そう願う私の気持ちは、結局独りよがりの幼稚な妄想に過ぎなかった。
もうどうしようもなく、ただひたすらに打ちひしがれ、立ちすくむしかなかった出来事。
取り返しのつかない事態、その直中から、この映画は始まっています。
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